10/17/2007

Sotsugyo Ronbun

岡山大学農学部
資源情報システム学
卒業論文


鈴木靖孝
都市住民の労働力活用による棚田保全に関する研究~
美咲町大垪和西地区「棚田支援隊」を事例として~

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都市住民の労働力活用による棚田保全の課題と対 策
~美咲町大垪和西地区「棚田支援隊」を事例として ~
資源情報システム 学 11415058 鈴木靖 孝

【課題と目的】
中山間地域において過疎・高齢化による労働力不足の進行により、耕作放棄が大きな問題となっている。一方、都市部においては団塊の世代を中心として、農業・農村への関心が高まっており、中山間地域保全を目的として都市住民の労働力を活用できる可能性があるものと考えられる。
そこで、都市住民の労働力活用による棚田保全を目的とした岡山県美咲町大垪和西地区の「棚田支援 隊」活動を対象として,研究を行った。農家と棚田支援隊を対象としたアンケート調査により、現状
と課題を明らかにし、活動の効率的運用を可能とする対策に関して考察した 。

【対象地域の概要】
美咲町大垪和西地区は岡山県の中央に位置し、中山間地域に属する。大半の農地が棚田百選に選ばれている「大垪和西棚田」に含まれる。しかし、過疎化・高齢化の進行により、農 地の維持・管理が困難になってきている。(高齢化率46 、自己保全管理面積11 :平成18 年 ) 【「棚田支援隊」活動の概要】平成18 年度から開始され、アグリカルチャー(棚田保全を目的とした地域組織)が中心となり、棚田保全活動を行なっている。都市住民から「棚田支援隊」隊員を募集し、農家の指導のもと、農作業を行っている。平成18 年度の参加者は42 名であり、主な活動内容は,草刈84 回(49 )草取り26 回(15 )稲刈り21 回(12 )あった 。

【調査概要】
大垪和西地区の農家及び「棚田支援隊」隊員を対象としたアンケート調査を実施した。
サンプル数は、農家対象が38 全農家の68 )、隊員対象が21 全隊員の50 )であった 。
【結果と考察】


農家側からみた「棚田支援隊」の課題;現在、大半の農家は「棚田支援隊」を利 用していない(利用38 。未利用62 )。利用しない理由としては、「隊員への指導が負担」が最も 多くなっていた(40 )。一方、利用した農家でも43 が「指導が負担」だと感じている 。
将来的には、耕作を停止すると予測される農家は、5 年後には37 、10 年後には60 になる。また、各農作業の苦痛度は、草刈に対する苦痛度が高いが、10 年後にはどの作業においても苦痛度が くなる。棚田支援隊を利用していない農家も60 が「将来的には利用したい」と回答している。
よって、将来的に、「棚田支援隊」に対して求められる農作業の種類と量が増加すると考えられる。
以上のことから、農家側からみた「棚田支援隊」の課題として、①現在おいては、隊員への指導の負担の軽減、②将来的に、増加すると考えられる作業ニーズへの対応、の2 点が考えられる 。


隊員側からみた「棚田支援隊」の課題;大半の隊員は、各種の農作業への対応が可能であり、参加意志がある(田植えの補助において57 の隊員に作業をこなす能力があり、全ての隊員が参加意志持つ)。これは、草刈中心の現在の活動との間にギャップが存在することを示している。実際に、「農作業体験」を目的として参加した隊員の55 が満足できなかったと回答している。隊員側からみた課題として、隊員の参加意欲と作業スキルに対応した農作業の提供が考えられる 。


「棚田支援隊」をより有効に継続させていくための対策;以上のことから、今後「棚田支援隊」 の継続に向けた対策として、指導の負担の軽減にむけて、第1 に、隊員を継続的に参加させる。第2 に、個々の隊員の能力に合わせて積極的に様々な作業を任せる。以上のことにより、隊員に様々な種 類の作業スキルを蓄積させ、新しく参加する隊員への指導に活かすことが可能となる。また、新たな隊員の募集方法を工夫する(現在の先着順による選抜基準を見直し、継続的に参加する意思が強く、現在の農作業スキル水準が高く、かつ年齢や参加可能回数を考慮に入れる)ことで、質の高い作業量 を効率的に供給できる 。



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worldkigo

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