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大垪和の天の邪鬼伝説
Amanojaku Legend of Ohaga
大垪和の人々にとって、アマンジャクはけっして悪い奴ではありません。書き方もさまざま:
アマンジャク、アマノジャク、あまのじゃく、天邪鬼
地元の備前焼 アマンジャク もあります。最後までの楽しみだ。
先ずこれを読んでください。
アマノジャクはひとりぼっちになってしもうた。ひとりぼっちになって、美作の山の奥深くに姿をかくした。そうして、山にわけいってくる人々をからかったり、百姓仕事の邪魔ばかりするようになったんじゃ。そのため、アマノジャクはどこに行ってもきらわれるようになってしもうた。
けれども、垪和(はが)の人たちだけは、今でもアマノジャクのことをあまり悪うは言わん。それは、アマノジャクの怒りや哀しみを知っているからじゃろう。
二上山には今でも「天の邪鬼岩」とよばれる石塁が残っておる。じゃが、垪和(はが)の土地の者でさえ、その本当の意味を伝える者はもうおらんようになった。
まああ。。。これは最後の部分ですが、すべてはこちらからはじまります。
童話 : さみしいアマノジャク
© 文 Barbaroi!
© 写真 Gabi Greve
いたずらアマノジャクのお父は、雲をつくような大男じゃった。
お父は山をほりくずし、その土石を川にながしこんで砂鉄をとりだし、タタラとよばれる溶鉱炉をつかって、砂鉄から鉄をとりだすことを仕事としておった。なんせ、鉄をとかすのじゃから、なまじっかな仕事ではない。山の木を切りたおして木炭をつくり、この炭火をつかうのじゃが、炭火だけでは砂鉄をとかすだけの勢いがないから、フイゴという風をおくる道具をつかって、炭火をおこしつづけねばならないんじゃ。
ぶを~ぶを~ぶを~ぶを~……
いったん火をおこしたら、六日六晩おこしつづけなければならん。さもないと、鉄はとけんのじゃ。まっ赤にとけた鉄をとりだすため、ふんどしひとつになってフイゴを踏みつづけるお父のからだは、力こぶがもりもり盛りあがっていたが、鉄をもとかす火の熱で、髪の毛は焼けて赤くちぢれ、肌の色も焼けて赤くなっておった。じゃから、みんなは、お父のことを「赤鬼」とよんで恐れておった。おまけに、お父は片目じゃった。ぱちぱちはじけた火の玉が、お父の片目を焼きつぶしてしもうたのじゃ。じゃから、お父はまったく恐ろしい顔つきをしておった。
ぶを~ぶを~ぶを~ぶを~……
赤鬼のようなからだから、滝のように熱い汗をしたたらせながら、夜も昼もお父はフイゴを踏みつづけておったが、その音は、アマノジャクにとっては子守歌のようなもんじゃった。
アマノジャクのお父にとって、たったひとつの気がかりは、息子のアマノジャクが、自分のようには少しも大きくならず、たくましくもないことじゃった。頭のてっぺんに大きなかさぶたができて、それがまるで小鬼のツノのようにみえるのじゃったが、からだはこまいし、おまけに蜂の子のように白くてぷよぷよで、いつも病気ばかりしておった。
「こがぁーなことじゃー、ご先祖さまにもうしわけがたたん」と、お父はいつもなげいておった。
「とてもお父のようにはなれん」
と、アマノジャクが泣きべそをかくと、
「うんにゃ」と、お父は頭をふって、まじめな顔をして言った。「ご先祖たちにくらべりゃ、わしなんぞつまらんものじゃ」
お父の話では、アマノジャクたちのご先祖は、クマやシシといっしょにこの山野を自由にかけまわり、力は山をもぬくほど強く、意気は天をもおおうほどじゃったという。ところが、アマノジャクのひいじいさんの、そのまたひいじいさんのころ、海のむこうから、想像もつかんような新しい技術を持った者どもがわたってきたのじゃ。彼らは、ご先祖のように食い物を求めて山野をかけまわるようなことはせず、平野を切り開いて田んぼをつくり、イネというものを育てることを知っておる利口者じゃった。じゃから、穴をほってすみかとしていたようなご先祖を、「まるで土蜘蛛のようじゃ」とばかにしくさっておったそうじゃ。
そんなやつらを、ご先祖たちは気にもなさらんかったが、いつの間にか、世の中がぼっこう窮屈になっていることに気づかされたのじゃった。大地というものは、この世にすむものみんなのものであって、だれのものでもないはずなのに、いつのまにか、田んぼをつくる者が多くなって、ご先祖はそこから追いたてられることになってしもうたのじゃ。そうして、わずかな米と交換するために、アマノジャクたちのご先祖は、海をわたってきた者たちにおそわって鉄をつくったり、泥田のなかをはいまわってイネをつくったりさせられることになってしもうたのじゃった。
「じゃが」と、お父は言った。「おらたちが力をあわせて、田をつくる手伝いをし、鉄からクワやカマをつくってやったけー、吉備はこがいに大きな国になったんじゃ。これだけは間違いないけぇのー」
ところが、何事もなくすぎていたアマノジャクのまわりにも、おかしな雰囲気がただよいはじめておった。見知らぬ村の者が、人目をさけるように入れかわり立ちかわりお父をたずね、ひたいにシワをよせて、ひそひそ相談するという日がつづくようになったのじゃ。
ヤマトというところに強大な王国をつくりあげた一族が、吉備の国を服従させようと攻めこんでくるというのじゃ。そうして、広い田んぼを持った長者や百姓たちは、自分たちの富や地位を守ろうと、ヤマトと取り引きをしようとしているというのじゃ。
じゃが、命いがいに失うものを何も持たないお父の仲間たちは、阿曽というところのウラを大将におしたてて、ヤマトの軍勢を相手に立ちあがろうとしておったのじゃ。
ある日のこと、お父はアマノジャクを二上山につれていったのじゃ。久米でいちばん高い二上山には、二つの峰があり、その峰を石塁がとりかこんでおった。お父やその仲間たちが、由須利の崖をきりとって石をくみ、土塁をきずきあげてつくった山城じゃった。お父は城壁のうえに登り立ち、はるか南をゆびさしてアマノジャクに言った。
「あそこに見えるのが、鬼ノ城のあるお山じゃ。あそこには、ウラという大将がたてこもっておりんさる。わしもこれからウラの加勢にゆくけぇのー。もしも鬼ノ城が落ちたら、この二上山も持ちこたえられん。そのときは……」
お父は二上山の真北をゆびさした。
「ここから真北に見えるのが人形仙じゃ。あそこにゆけば、西の方にも東の方にも、どこまでも自由にゆける道がある。わしらの一族しか知らん道じゃ。見てみい、海の波のようにつらなる山々を。この山々こそわしらの故郷じゃ。ここに生きるかぎり、だれもわしらを滅ぼすことはできぬのじゃ」
そう言い残すと、お父は棍棒をふりかざしながら、新山の鬼ノ城をめざして二上山をかけくだっていったんじゃ。
やがて久米の里にも、ウラの戦いのようすが伝わってきた。攻め寄せたヤマトの軍勢は、ウラたちに近寄るのが恐ろしゅうて、遠くから矢を射かけてくるばかりじゃったという。ウラたちはすかさず岩を投げかえす。すると、矢と岩とは空中で噛みあって落ちてゆく。それを見て、ヤマトの兵たちはぽかーんと口をあけておった。じゃが、これではいかんと気をとりなおして、もういっぺん矢をひょうと放った。ウラたちも負けずに岩をびゅんと投げる。矢と岩とはまたもや空中でがっきと噛みあって地に落ちる。今度はヤマトの兵たちもさすがに感心して、「ほーッ」と声をあげた。ウラたちは、どんなもんじゃと胸をはったそうな。
これではどうにもならんと、敵の大将は、大きな弓をひきしぼって、いちどに二本の矢をつがえてひょうと射た。ウラも力をこめて岩をびゅんと投げかえした。一本の矢はその岩と噛みあって地に落ちたが、もう一本がねらいどおりウラの左目にぐさりとつきささってしもうた。流れる血は川となって、足守川にそそぎこんだということじゃ。
こうなっては、さすがのウラもたじたじとなって、キジに姿をかえて山のなかに身をかくした。するとヤマトの大将はタカとなって追いかけたので、ウラはたまらずコイとなって、血吸川から足守川にでて瀬戸内海にのがれようとした。じゃが、ヤマトの大将はウに変身してなおも追いかけ、ウラはとうとう矢部の地でつかまってしもうたんじゃ。
ヤマトの大将は庄村でウラの首をはね、串にさしてさらしものにしたんじゃ。ところが、ウラは首となっても大きな声でうなりつづけ、そのため人々は夜も眠ることができんということじゃった。
ヤマトの軍勢に追われて、ウラに加勢した者たちが二上山に落ちのびてきておった。鬼ノ城が落ちた今、二上山が最後の砦じゃった。しかし、生きて落ちのびてきた者の数は少なく、しかもみな深い傷を負い、歩くのもやっとのありさまじゃった。
そんな落人たちのしんがりをつとめるように、両目を失った男が、仲間に手をひかれて落ちのびてきたんじゃ。アマノジャクのお父じゃった。もともと片目だったお父は、もう一方の目をウラと同じように矢で射ぬかれたのじゃった。
「さぁ、ここをわしらの最後の戦いの場にしょうぞ」
お父は二上山の砦にたどりつくと、みじめな姿になってうなだれた人々にむかって、声をはげまして言った。
「吉備の百姓どもは、みんなわしらを見捨ててしもうたんじゃ。わしらだけで戦って、どがいするじゃー」
「なんぼうにも、石では鉄に勝てりゃーせん」
深く傷ついた仲間たちは、立ちあがる気力もなくして、口々にこぼすのじゃった。
「わしらの大将のウラは、いったい、何のために戦ったんじゃ!」
お父は、ぼうぼうに乱れた赤い髪の毛をふるわせて怒鳴った。
「わしは目が見えんようになってから、ものの道理がよう見えるようになったぞ。わしらは鉄に負けたのじゃない。鉄から人を殺す武器をつくりだしたヤマトの人間どもの性根に負けたんじゃ。じゃが、この負けを、わしは恥とは思わんぞ」
お父は、言葉をかみしめるように話をつづけたんじゃ。--わしらも、つくろうと思えば、鉄の武器もつくることができるじゃろう。じゃが、ウラはそうせなんだ。そうずに、わしらのご先祖と同じく、石を武器に戦うた。自分の力と知恵以上のものをつかっては戦わないという、わしらのご先祖からの教えにウラは殉じたのじゃ。そのためにわしらは負けたが、何の恥じることがあろうぞ。恥なのは、わずかな米がほしいばかりに、わしらがご先祖の魂をうしなって、大地の内臓をあばいて鉄をつくり、奴隷のようになって泥田の中をはいまわってきたことじゃ。阿曽のウラは、そのことをわしらに思い起こさせてくれたんじゃ。
仲間の男たちは、お父の言葉にはげまされ、ここ二上山で最後の戦いをするため、女や子どもたちをさらに山深く落ちのびさせる準備を始めたんじゃ。アマノジャクも、お父に言われて、吉井川をさかのぼって人形仙をめざす一向についてゆく、と答えたのじゃった。
やがて、ウラの残党狩りをするヤマトの軍勢が垪和(はが)の地にもおしよせ、二上山に攻めのぼってきた。じゃが、ここを死に場所と思いさだめた男たちのために、思いがけずてこずったが、その男たちも一人たおれ、二人たおれしていったんじゃ。アマノジャクのお父は、せめてひとりの敵とでも刺しちがえて死のうと、石塁のうえにしっかと立って、見えない目で南の方をはったとにらみつけておった。そのとき、
「みぎ!」
お父の耳もとで叫ぶ声がした。敵が右から近づいていることを知らせたのじゃ。それはアマノジャクの声じゃった。アマノジャクは、お父の目のかわりをしようと、こっそりと二上山に居残っていたのじゃ。
お父は右の方向に力いっぱい岩を投げつけた。ヤマトの兵が、お父の投げつけた岩におしつぶされて、ながい悲鳴をひいて谷底へと落ちていった。
「ひだり!」
またアマノジャクが叫んだ。お父は城壁の岩をさしあげると、左にむかって投げおろすのじゃった。
しかし、ヤマトの軍勢は、まるで黒い雲がわくように、次から次へ際限もなく山の斜面を攻めのぼってくるんじゃ。
「ああ、きりがない!」
アマノジャクは、思わず大きな溜め息をついたのじゃ。お父はそれとさとって、きびしい表情をしてアマノジャクに言った。
「もはやこれまでじゃ、お前はここを落ちのびて山にはいれ」
アマノジャクも今はもうお父の言うことをきくよりなかった。お父の見えない目にむかって、黙ってうなずきかえしたんじゃ。お父は表情をゆるませて言った。
「いくじなしとばかり思っていたお前と、こがいな戦いができて、わしはうれしかったぞ。これでご先祖さまにももうしわけがたつというもんじゃ」
お父はそう言うと、見えない目でにっこりと笑うたのじゃった。
吉井川の源流へとむかう尾根のうえから、アマノジャクが最後に見たものは、ヤマトの兵たちに黒蟻のように組みつかれた大男のお父が、頭のうえにさしあげた大岩ともども、谷底へとくずれ落ちてゆく光景じゃった。思わずアマノジャクの口をついた悲鳴が、いんいんと美作の山々にこだましていった。
こうして、アマノジャクはひとりぼっちになってしもうた。ひとりぼっちになって、美作の山の奥深くに姿をかくした。そうして、山にわけいってくる人々をからかったり、百姓仕事の邪魔ばかりするようになったんじゃ。そのため、アマノジャクはどこに行ってもきらわれるようになってしもうた。
けれども、垪和(はが)の人たちだけは、今でもアマノジャクのことをあまり悪うは言わん。それは、アマノジャクの怒りや哀しみを知っているからじゃろう。
二上山には今でも「天の邪鬼岩」とよばれる石塁が残っておる。じゃが、垪和(はが)の土地の者でさえ、その本当の意味を伝える者はもうおらんようになった。
ところで、ウラの生首がどうなったか話しておこう。
首になってもうなりやめないウラに、吉備の長者や百姓たちはほとほと困りはてて、なんとかしてくれとヤマトの大将に願いでたんじゃ。そこでヤマトの大将は、吉備の長者のイヌカイタケルに命じて、ウラの首を犬に食わせたんじゃ。犬たちはウラの首の肉をことごとく食いつくし、脳みそをもすすりつくし、白い頭蓋骨をなめつくしてしもうた。じゃが、ウラのされこうべはなおもうなりやまず、それから何年もの間、その声は吉備の国じゅうに鳴り響きつづけたということじゃ。
© Barbaroi!
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/tiakio/yaziuma/fab1.html
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歴史にある 垪和族
The Haga Clan of Ohaga, some history
門土さんのたくさんの天の邪鬼, 買い集めてはいかがですか?
地元の備前焼作家、高垣門土の作品 Takagaki Mondo
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大垪和の「天の邪鬼の重ね岩」
Amanojaku no Kasane-Iwa
The same mountain formation in near my home in Germany
Felsenmeer in Reichenbach, Odenwald.
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- quote -
Amanojaku, or Amanjaku (天邪鬼, "heavenly evil spirit")
is a demon-like creature in Japanese folklore. It is usually depicted as a kind of small oni, and is thought to be able to provoke a person's darkest desires and thus instigates them into perpetrating wicked deeds.
One of the amanojaku's best known appearances is in the fairytale Urikohime (瓜子姫, "melon princess"), in which a girl miraculously born from a melon is doted upon by an elderly couple. They shelter her from the outside world, and she naively lets the amanojaku inside one day, where it kidnaps or devours her, and sometimes impersonates her by wearing her flayed skin.
- - - In religion
The amanojaku is commonly held to be derived from Amanosagume (天探女?), a wicked deity in Shintō myth, which shares the amanojaku's contrary nature and ability to see into a person's heart, "a very perverted demon".
The creature has also entered Buddhist thought, perhaps via syncretism with the yaksha, where it is considered an opponent of Buddhist teachings. It is commonly depicted as being trampled on and subdued into righteousness by Bishamonten or one of the other Shitennō. In this context it is also called a jaki (邪鬼).
- - - More in the WIKIPEDIA !
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3/23/2006
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